子ども権利条約を守る国をめざして
国会議員の皆様へ
昨春以来、審議されている自民党のプロジェクトチームによる「特定生殖補助医療法案に関する法律案」には、子どもができないカップルのために、新たな生殖補助医療の技術拡大を認めても、その結果生まれてる子どもの「出自を知る権利」は二の次であるという趣旨が、意図的ではないにしろ見て取れます。
子ども権利条約7条には「…できる限りその父母を知り…」があり、8条には「締約国は、児童が法律によって認められた国籍、氏名及び家族関係を含むその身元関係事項について不法に干渉されることなく保持する権利を尊重することを約束する。」とあります。自身の生まれ方に、自身の意見を反映することができない子どもに、せめて不利益がないようにその道筋を準備するのが、大人の役目であり、国家の役目だと考えます。
わが国では意図的ではないにしろ、生まれた子の「出自を知る権利」を軽視してきた歴史があり、それゆえ、本技術で生まれた人の中には、「親や医療者、この技術を容認している国に裏切られた」という思いを抱いている実態があります。
新しく作成する法律においては、誰が見ても「生まれてくる人」を第一に考えた、子ども権利条約を遵守した内容であるべきであると考えます。子どもが望めば、ドナー情報が辿られるように、その道筋を残す制度を法律で明示することが、子どもの成長を支えます。
昨今、AID(非配偶者間人工授精)による家族づくりを試みるカップルは、熟慮してAIDを選択し、その後に授かった命に対し誠実であろうと、真のつながりを求めて毎日を積み重ねています。ですが、「ドナー情報が得られない」現実の前には無力で、子どもへの告知も消極的にならざるを得ない現実もあります。
諸外国、特にオーストラリアでは、権利を保障されているため、ドナーの存在を隠すことなく協力を得ながら、より良い子育てを出来る環境が準備されています。このような環境を整えることこそが、より良い家族のあり方を支える土台となると考えます。
どうか、法案の中に、2003年に、厚生省厚生科学審議会生殖補助医療部会が作成した「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」に立ち返って、出自を知る権利を盛り込んでください。
生殖補助医療の技術拡大を認めるならば、同時に生まれてくる子どもの「出自を知る権利」を認め、国ベースで保障をしていくことを最優先課題としてください。
「子どもの幸せ」=「親の幸せ」、さらには「ドナーの幸せ」も配慮された、だれもが搾取されることがないような法案を再考いただきたくお願い申しあげます。
法によって子ども権利条約が守られる国に生まれて来たことを、子どもたちが誇らしく思えるような国作りに繋がればと願っています。
どうかよろしくお願い申し上げます。
参考資料として以下を添えさせていただきます。国内外の実情を記した両資料をお読みいただき、ともに、この国におけるより良い家族のあり方を考えていただければ幸いです。
* オーストラリアの最新の実態をレポートした大野和基氏「出生告知(G2 Vol.18,講談社)」
* 日本の親の実態をレポートした歌代幸子氏「『精子提供』で子を授かった親たちの思いとは(婦人公論 2015年2月24日号,中央公論新社)」
すまいる親の会有志一同
平成27年2月11日
——子ども権利条約を守る国をめざして——
「生殖補助医療」法案に出自を知る権利を盛りこんでください
昨春以来、審議されている自民党のプロジェクトチームによる「特定生殖補助医療法案に関する法律案」には、子どもができないカップルのために、新たな生殖補助医療の技術拡大を認めても、その結果生まれてる子どもの「出自を知る権利」は二の次であるという趣旨が、意図的ではないにしろ見て取れます。
子ども権利条約7条には「…できる限りその父母を知り…」があり、8条には「締約国は、児童が法律によって認められた国籍、氏名及び家族関係を含むその身元関係事項について不法に干渉されることなく保持する権利を尊重することを約束する。」とあります。自身の生まれ方に、自身の意見を反映することができない子どもに、せめて不利益がないようにその道筋を準備するのが、大人の役目であり、国家の役目だと考えます。
わが国では意図的ではないにしろ、生まれた子の「出自を知る権利」を軽視してきた歴史があり、それゆえ、本技術で生まれた人の中には、「親や医療者、この技術を容認している国に裏切られた」という思いを抱いている実態があります。
新しく作成する法律においては、誰が見ても「生まれてくる人」を第一に考えた、子ども権利条約を遵守した内容であるべきであると考えます。子どもが望めば、ドナー情報が辿られるように、その道筋を残す制度を法律で明示することが、子どもの成長を支えます。
昨今、AID(非配偶者間人工授精)による家族づくりを試みるカップルは、熟慮してAIDを選択し、その後に授かった命に対し誠実であろうと、真のつながりを求めて毎日を積み重ねています。ですが、「ドナー情報が得られない」現実の前には無力で、子どもへの告知も消極的にならざるを得ない現実もあります。
諸外国、特にオーストラリアでは、権利を保障されているため、ドナーの存在を隠すことなく協力を得ながら、より良い子育てを出来る環境が準備されています。このような環境を整えることこそが、より良い家族のあり方を支える土台となると考えます。
どうか、法案の中に、2003年に、厚生省厚生科学審議会生殖補助医療部会が作成した「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」に立ち返って、出自を知る権利を盛り込んでください。
生殖補助医療の技術拡大を認めるならば、同時に生まれてくる子どもの「出自を知る権利」を認め、国ベースで保障をしていくことを最優先課題としてください。
「子どもの幸せ」=「親の幸せ」、さらには「ドナーの幸せ」も配慮された、だれもが搾取されることがないような法案を再考いただきたくお願い申しあげます。
法によって子ども権利条約が守られる国に生まれて来たことを、子どもたちが誇らしく思えるような国作りに繋がればと願っています。
どうかよろしくお願い申し上げます。
参考資料として以下を添えさせていただきます。国内外の実情を記した両資料をお読みいただき、ともに、この国におけるより良い家族のあり方を考えていただければ幸いです。
* オーストラリアの最新の実態をレポートした大野和基氏「出生告知(G2 Vol.18,講談社)」
* 日本の親の実態をレポートした歌代幸子氏「『精子提供』で子を授かった親たちの思いとは(婦人公論 2015年2月24日号,中央公論新社)」