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家族として幸せになるために 娘

AIDでうまれたこどもの幸せについて(子の立場から) 山田 (娘)

家族として幸せになるために

AIDでうまれたこどもの幸せについて(子の立場から)

                                前掲 山田(娘)

 

 当事者として発言することは初めてで、このような公の場では緊張するので、文章を読み上げさせていただきます。

 

 私はDIで生まれて、両親から13歳の時にテリングを受けて成長しました。テリングを受けてからも家族関係は良好で、祖父母や叔母夫婦と血縁がないことを意識する必要がないほど大切にしてもらいました。

 

 これまでに特に悩んだことはありません。友人に両親と全然似ていないねと言われた時は、そりゃそうだよねと思うくらいでした。自分の大切な人には当然のように出自について話をしています。

 

 現在は実家を離れ会社員として独立して暮らしています。そんないま両親に対して伝えたいことは、生んでくれてありがとうということです。私が振り返って良かったと思うことは、両親が13歳という反抗期が終わって精神的に安定していた時期を選んで、ベストなタイミングでテリングをしてくれたことです。伝えるときに両親が揃って誠実に向き合って話をしてくれたからこそ、自分の出自に関して特別に不安に思うことはありません。両親から望まれて生まれてきていることが確認できていること、両親や親戚から大切にされていることがしっかりと自覚できているので、まったく不安に感じないのです。

 

 自分は自分の生まれ方にこのように向き合ってきたので、自分のアイデンティティーが揺らぐことはありません。ただ、育った環境や出自の知らされ方によって、感じ方がそれぞれ違うのは当然だと思います。出自を知った際に自分のアイデンティティーがわからなくなる人がいるので、自分自身と向き合うときに、必要とするのであれば、情報は提供されるべきだと思います。そのために出自を知る権利は必要だと思います。乗り越え方はひとそれぞれです。私は家族と向き合って乗り越えることができましたが、一人一人に合った選択ができる体制が準備されることが大切だと思います。

 

 自分がDIで生まれたことを知って傷ついている方もおられると思います。しかし、私のように幸せに暮らしている事例もあるので、DIという方法が一概に悪いと捉えてほしくはありません。一方で子どもを持つ安易な手段としてDIを選択することも望みません。DIという選択を残しつつ、親子が家族として誠実に向き合うための環境作りとして、法整備やフォローする場所、受け止める社会を整えて欲しいと思います。その中の一つが出自を知る権利だと考えています。

 

 普段はこのことについて意識して生活することはありません。この度この場でお話しする機会をいただいてお伝えできることは、自分のようにDIで生まれ、テリングを受けて育った子どもでも、幸せに暮らしている事例があるということです。

 

 私からは以上です。ご静聴ありがとうございました。

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